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風光る 春に蔓延る クソ女

春ですね。

4月に入ってから一記事しか書いていないという恐るべき自体に、それでも毎日来てる人は一体何を見ているんだと疑問に思うところであります。

ところで、春ですね。
新しい学校へ進学しましたか?新社会人として輝く毎日を過ごしてますか?それとも何も変わらず死んだ魚の目をして毎日犬畜生のような生活のままですか?

春というのは出会いの季節でも有ります。
新しい環境、新しい生活に胸はドキドキ、下半身はムラムラするもんです。

そういう僕はどうなのかというと、ないです。
かれこれ社会に出て何年も経ち、バーボンと卯の花が美味く感じるようになってしまったのでもうおしまいです。

仕事場と自宅を往復する変わりのない毎日。
胸がドキドキすることなんて夜勤明けのブラックコーヒーを飲んだ時や嫁さんに「浮気チェック」とフザケながら携帯をいじられた時位のものです。

僕が公園で一服してたら初々しい高校生の男女が少しぎくしゃくしながら一緒に歩いていたりします。まだ少し照れが残ってるのか、女の子は軽く指で男の子の手を摘むように手をつないでました。
一方僕の手には紙おむつ。このクソみたいなセカイ、滅んでしまえ。

もちろん妻と娘は目に入れても痛くないどころかケツの穴に入れても痛くないほど愛おしいですよ。いや、さすがにケツの穴は少し痛いかもしれない。経験ないし。
しかし家に帰るとパジャマ姿で二人でアンパンマン見ながら食パンを何も付けずに貪っているのを見ると、ペットのハムスターを見ているような感覚で「オレはこいつらの飼い主なのか?」と思うことがあります。

ため息混じりに自分の部屋に入ると、これまたペットのトカゲ共が餌をくれと口を開けています。
「どいつもこいつも一緒だな。」
ふとトカゲを見ながら
「こいつらは一生オレがやった餌を食って生きてくのか。」と妙に感慨深くなり
「リビングの2匹もオレがあいつらの命を任されてるのか。」と思いました。
僕はエサのイトミミズをこねながらそれも悪くない、と生きる活力が生まれたのでした。

娘の写真を肴に夜勤明け、一人バーボンを飲むオヤジですが、ふとこんな言葉を思い出しました。
「結婚とは墓場である。」
そうです。その通りです。
結婚と同時に男は死にます。
そして子供が産声を上げるとともに新しい「父」が生まれるのです。
人生の辛さ苦さを味わえるようになりバーボンの苦味でさえ美味と感じるようになるのです。


高校生やアホみたいな大学生、大学を卒業したけどイマイチ大人になりきれて居ないのに何故か大人ぶってる奴がどうしてチューハイや甘い酒などを好むのか。
それは人生の苦味を知らないからであって、若さという人工甘味料をたっぷり使った甘ちゃんな人生のまっただ中の連中にはウィスキーのうまさなど知る由もありません。

嫁と子をケツの穴に入れた痛みを知ってから酒のうまさを語れとプレ・オッサンの僕は言いたいです。



そう入っても彼らは若い。
人生だって甘々です。仕方が無い。
僕だって甘い毎日を過ごしてました。思い出すと胸やけしそうなほど甘い思い出や警察署でイマイチ火が通っていない苦いピーマンが入った弁当を食べたことだってありました。
彼らもいずれは人生の苦味を味わうことになるでしょう。
イライラなんてせず今は暖かく見守ろう。それがオレたち大人にできること。

例の高校生カップルを僕は眺めながらそんなことを考えていたのでした。
すっかり日もくれ辺りが暗くなった頃、二人は相変わらず微妙な距離を保ったままベンチから立ち上がりました。

出口まで歩くとどうやら別々に帰るようです。
お、チューでもするか?とオジサンは見ていたのですが男の方が今ひとつ勇気が出ないようで。
なんだよ、頑張れよ小僧・・・と心の中で駄目だししつつ僕も帰るのでした。



違うある日、相変わらず夜勤の僕は「あの人、平日の昼間からこんなところでなにしてるのかしら。」の視線を浴びつつまた同じ公園でタバコを吸ってました。


「すいやせーん、タスポ借りれないっスか?」

珍しく話しかけてきたのは頭の悪そうな高校生。

「バカタレ。制服には貸せないよ。」
僕がそう言うと

「そうっすよね。スイヤセン。聞かなかったことにしてクダサイっス。」

案外聞き分けがいいなと思うと制服の内ポケットからくしゃくしゃになったセブンスターの最後の一本を取り出した。

「あー、あっちいって吸うなら吸え!見なかったことにしてやるから隠れて吸え!」
「あ、スイヤセンwwwあっち行きやすwwww」
「裏に交番あるからな、気をつけろよ。」
「あ、あざっす!お兄さんいい人すね!」
「喫煙黙認した悪い人になるからいいから話しかけるな、あっちいけ」
「うっす!」

本当は注意すべきだがオレが注意したところで効き目はないだろう。
ああいうアホは一回バレて警察に怒られた方が良い薬になる。
さ、交番でチクってから帰るか・・・と思って立ち上がると

「えー、アタシの分ないじゃーん!!」
と女の声が聞こえた。

なるほど。一本しか残って無くて女の分を買いたかったのか。
バカそうな声の女だな。どれヤリマンビッチの顔でも見て帰るかと思い顔を見てやると僕は驚愕した。

以前、この公園で違う男と一緒に居た女だ。そうあの初々しいカップルの女だった。

「マジかよ・・・・。」

と僕の心の声が後ろから聞こえた。

あれ、オレ声に出してないのに。
後ろを振り返るとまさにあのイマイチ押しの弱い男の子の方が居た。


うわぁ。



少しの間呆然とバカ二人を見た後、携帯を取り出ししばらく考えた後何もせずにしまった。
そして振り返るとその場を立ち去ってしまった。

「諦めたのか。」

その少年の顔はまるで、馴れないバーボンを飲んでいるような苦い顔をしていた。




「かわいそうにな。」
オレは彼のショボくれた背中を見ながら一人の少年がひとつ「人生の苦味を知る瞬間」を目の当たりにしてしまった。



僕には何もできない。しかし心の中で彼を応援した。いい男になれよ、と。


そして最後に僕ができること。

「あっちで高校生の男女がタバコ吸ってますよ。」

僕は帰り際交番に寄り、お巡りさんにそう告げた。



めんどくさそうに公園に向かうお巡りさんを背中に、おむつを片手に僕は家へと帰るのでした。


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