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人柳と月。 最終話

その一
その二
その三

登場人物

私 柳の神社の近くに住む青年
K 神社の次男。オカルト話は嫌い。
K兄 神社の跡継ぎ。噂の真相を話してくれた
J 私の知りあい。噂に興味を持つ。何かに気づいたらしい




僕「おい、行かないって約束したじゃねぇか!嘘だったのか!」
僕の静止も聞く耳を持たない。

J「向こうも嘘ついてんだ。お互い様だよ!」
僕「なんで嘘だって分かるんだよ!」

僕はJを止めるために後を追う。


J「これだよ!」

Jが指さしたのは例の花だ。

僕「それがなんだって言うん・・・・・・。」


僕は全身が凍りついた。


J「どした?」
僕「あ・・・。ああ・・・・・・・・。」



Jの真後ろだ。

はっきりとは分からない。しかし、何か人影のようなものが確かに見えた。
いや、見えたというより”感じた”が正しい表現か。
しかし、「何か」が確かに存在した。



J「お前、見えんの?」

僕は恐怖のあまり声が出ない。
小さく

僕「柳サマ・・・だ・・・・・・。」
とつぶやくのが精一杯だった。



僕はすくんだ脚を奮い立たせ、Jを力いっぱい引っ張った。
僕「お兄さんだ!お兄さんのとこへ行こう!」

そう言うがJは動こうとしない。


僕「早くしろ!何やってんだよ!逃げるぞ!」
僕はそう言ったがJが静かに呟く


J「そんな失礼な事できっかよ。」

何を言っているんだこいつは。本当に頭がおかしいしか思えない。
こうなれば一人でも逃げてやると思った時、

Jは静かに手を合わせた。


J「オレには見えないけどさ。ありがとう。」


ありがとう?
何をしてるんだ。そう思った時に


K兄「何をしているんだ!!」
ひとしきり大きな叫び声が聞こえた。
騒ぎを聞きつけたKの兄だった。

Kの兄はとても驚いた様子で足を止め、こちらを見ながら再び叫んだ。

K兄「早くこっちへ来い!!」
すると、Jも同じだけの大きな声を上げ


J「うるせぇ!!!」

と怒鳴った。



J「いつまで隠してるつもりだよ。」
J「オレには見えない。見えないけどさ、この人じゃないだろ。噂のバケモンはよ。」


Jはそう言うと、Kの兄に詰め寄った。



J「二人、ここで死んでるんだろ。」

そう言うとKの兄はとても驚いた。

K兄「なんで、分かる・・・?」


J「これ。花。二人分だろ。」


K兄「・・・・。」

J「誰?今居る人は。」
K兄「お前、見えるのか?」
J「見えないって言ってるじゃん。でもね、怖くない。オレだってホントは幽霊は怖いよ。でもこの人は怖くない。」
K兄「凄いやつだ・・・。」


そう言うとKの兄はJの方に近寄り、Jの足元にあった花を池に投げ入れた。

そして「ありがとう御座います。」

と祈りを捧げた。


固まる僕を尻目にJも同じように祈っていた。
Jも小さくありがとうとつぶやいていた。


月の無い夜なのに、池からやさしい光が反射しているような気がした。





Kの兄とともに家に入るとすぐさまお祓いが行われた。
僕ではなくJに対してだ。


J「ふう・・・。」

少しダルそうにしながらJはため息を付いた。

K兄「大丈夫か?」
J「わかんねぇよ。プロが素人に聞くなよ。」
K兄「まったく信じられないやつだな。」

Kの兄が水の入ったかめに祈った後、手ぬぐいを浸しJの首に当てた。
その時僕は衝撃を受けた。


僕「あ、それ・・・!!」

Jの首は赤く腫れていた。ミミズ腫れのような何か「縄」でも括ったような・・・・。


J「悪ふざけで行くとこじゃねぇな。」
K兄「当たり前だ。」
J「けっ、一度見捨てたくせによく言うわ。」
K兄「それは・・・済まなかった。」
J「いいよ、オレが悪いんだもん。」



何が何だか分からない。

一通りの処置を終えた後、Kの兄とJは話しだした。



J「実はよ、一回目柳へ行った時にオレなんかされたんだよ。」
驚いた。平然としていたようなJは首に違和感を感じたという。たしかに、首が重いなどしきりに首を気にしていた気がする。

J「で、やべーな。とか思ってたらお兄さんが来てね。助かった、と思ったらシカトしやがんの。気づいてたくせに。」
K兄「済まなかったって。」
J「だから、助けてもらいにもう一度行ったってわけだ。」

僕「えっ?」

何が何だか分からない様子の僕にイライラしながらJは語った。


J「おそらく、オレを襲ったのは柳に出るバケモンだ。祟ろうとでもしたんじゃないの?
  で、お前が見たって言ったのは違う人。そのバケモンを監視してる人ってわけだ。」

僕「え、何がなんだかわからん。」

J「だー、もう鈍いやつだな!オレダルいしお兄さん、言ってやってよ。」
K兄「分かった。実はな・・・」




柳の霊は実在する。
月明かりをさけ、新月の日にあの柳に出るんだ。
それは例の女で、柳で首を吊って自殺した。
しかし、何故新月の日に出るか。
実は、あの池で神社の身内の女性が同じく自殺した。
彼女の死ぬ前、霊と祟りを恐れた住民たちは神社の者へ助けを乞いた。
しかし、なぜだか女の霊は神社の人間の前には現れなかった。
それは、住民の「差別」に加わらなかったからだ。
特に、同じ歳の女性が居て、その病で顔を傷つけた女を「人間」として扱った。

女の事、女の顔を化物などと言わなかった神社の人間は女の霊に出会うことはなかった。
新月の夜、住民に見られないように新月の日に神社の女性のもとを何度も訪れたほどだった。
女にとって神社の人間、特に例の女性は心の拠り所だったのだろう。
女は住民に受けた酷い仕打ちを恨み、住民だけを祟ったのだ。

何も知らぬ住民たちは今度は、何もできない神社の人間を蔑んだ。
インチキ。能なし。出て行け。など。
それを苦に、神社のその女性は池に身を投げた。
皮肉にも月のキレイな夜だったそうだ。
水面に写る月に吸い込まれるように女性は死んでいった。


優しい彼女は住民を祟ることなどなかった。
ただ、ひたすらに何もできなかった自分を責めていたそうだ。
住民を守れなかったことも、女を救うことができず死なせてしまったことも。

月の光が出ている間、神社の女性の霊は女とともに居る。
彼女が居る時は、女は恨みなど忘れることができた。
しかし、月のない日は神社の女性は出てくることができないんだ。
すると、恨みが蘇り女は人を襲おうとする。
自らの恨み、神社の女性を死に追いやった恨み。それらを晴らそうと。

柳サマとなって。










僕「悲しすぎる・・・。」

K兄「ああ。本当に怖いのは霊なんかじゃなく、人間さ。」
J「もう一人の霊を隠してるのも、また神社の人間だってバレたら近所から変な目で見られるからってわけだ。」
K兄「ああ。この辺りはそういう土地柄なんだよ。昔から。」
僕「つまり、最初行った時にすでにJは祟りを受けていたって事?」
K兄「ああ。新月だからな。女性の力で抑えることができなかったんだ。」
J「で、お兄さんは気づいたけどオレを見捨てたと。」
K兄「何もできないんだ。神社の人間の俺には。」
J「ま、だからオレはあの人のとこに行ったってわけだ。良かったよ、助けてくれたみたいで。」
僕「それにしてもなんで分かったんだ?」
K兄「ああ、俺も気になるな。」

僕らはJに視線を向けた。

首を曲げ、痛そうにしているJは
J「分かってなんかないよ。勘だよ、勘。」


K兄「大した度胸と勘だよ。」
J「でもそのオレの勘でもわからないことがあるんだよ。」
K兄「なんだ?」
J「今日は新月だ。なんであの人は来てくれたんだ?」
K兄「俺にも分からん。」



「わかんないんじゃ、まだ跡は継がせられないな。」

奥から出てきた男性はそう言いながらJの元へ行き、

「自分で巻いた種とは言え、立派だった」
そうJと固い握手を交わした。



K兄「親父!」
K父「おう。」
K兄「知ってたのか?この騒ぎを。」
K父「ああ、全部J君から聞いたよ。見捨てるとは情けないな。」
K兄「それは・・・・。でもいつ?」
J「ほら、トイレ借りたじゃん。その時トイレ誰か入っててさ。お父さんがウンコしてた。」
K父「その時に全部聞いたんだよ。これってヤバイ?とか言われて困っちゃったよ。」
J「親子揃ってさ、何もできないとか言いやがんの。全くね。」
K父「ただ、祈ればきっと届く。とだけ言ったんだ。」
J「どうやら届いたようだな。きっとオレがイケメンだからあの人も来てくれたんだな。」
K父「バカなヤツだ!俺もずっと祈ってたんだよ。君等が柳に向かう間ずっと。俺の祈りのおかげだな。」
J「いやいや、オレに惚れたんだって。ユーレイすら落とすオレはさすがだね。」
K兄「あんな事があったのに笑ってやがる。本当大したヤツだ。」


Kの父とJの笑い声が新月の夜に響き渡った。















僕「マジで行くのか?」
J「今日は満月だ。大丈夫大丈夫。」


僕らは後日、再び柳の元へ向かった。
今度は美しい満月の夜だった。

僕「お供え物、月見団子でいいのかな。」
J「オレの顔が見れれば、満足するって。」
僕「お前・・・。」
J「あん?」




僕らは満月の夜、二人分の月見団子を持って柳の下に置いた。

J「超綺麗だな、月。」
僕「ああ。そうだな。」

僕らは手を合わせ、月を見上げた。

J「このまま月見でもしますか。それ食って良い?」
僕「バカ!お供え物だぞ。」


池に映る満月が、りん、と光った。

J「食っていいってさ。」

ニヤと笑いを浮かべ、親指で池に写った月を指しながらJは言った。


もしゃもしゃと月見団子を頬張るJの目には
美しく優しい満月の光が映っていた。








終わり。
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「あら!よく見れば良い男!!」

そしてJとお姉ちゃん2人による
組んず解れつな関係が、今はじまる。

幽霊と3Pとは、ほんと大したやつだ。
さすがジャッキーチェンだぜ!

久しぶりに隈さん見たけど相変わらず元気そうで安心した。

僕ならこの通り!

ビンビン元気です!(股関を見つつ)

ありがとうグッピーさん。
愛してるよ~♡
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神奈川県在住。歳は20代後半になりました。

趣味は音楽と筋トレ。
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普通に会社員としても働いてます。
怠け者なのでご承知を。

Twitterは@JunShinkです。基本的に身内ネタ多いですが。
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