僕と社長と黒魔術 前編

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samui

僕にはいろいろな友達がいる。
その中でも群を抜いて変わった人が、とある社長。

社長と言っても大きな企業の社長ではないが、地元で何件か飲み屋を経営している社長だ。
飲み屋の経営だけあって見た目はインチキ臭く、どこかガラも悪いが、
とはいえ腐っても社長。結構お金は持ってるみたい。
僕がお金がなかった時、

「金はな、タダで手に入るとありがたみを忘れるんだ。だから金はやらん。だけど飯食わないのは良くないな。俺の店に来いよ。残飯ぐらいなら食わせてやるぜ。」
と僕にいい、実際に店に向かうとよりどりみどりの食べきれないほどの残飯をごちそうしてくれていた。


見た目がアレなだけ、ヤのつく職業じゃないかと噂されて心に傷を負っているらしいが、僕は社長の心の優しさを知っているので今でも仲良くしている。
僕は仕事で外貨を扱う事があるので、社長がハワイに行くと言うのでドルを集め、銀行では変えてくれないような儲けが一切出ない破格の値段で両替してあげている事があるのだが、
とある日、社長の店の中で僕に100万円程の札束を渡しているところを見られたそうだ。

その見られた相手と言うのが、義理の母、といっても社長は独身なので実の父の再婚相手だそう。
しかし社長、この母の事が嫌いでなるべく関わらないようにしているらしいのだが、
事あるごとに社長の店に来てタダ酒を飲んで帰るらしい。何か言ってやればいいのだが社長は父の事は尊敬しているので、そう雑な扱いは出来ず困っているそうだ。



社長「まったくあのクソ女。」

その見た目からぴったりの暴言が社長の口から飛び出した。

ジュン「どうしたんですか?」
僕がそう聞くと、

社長「お前に金渡してるの見たら、札束に興奮したのかシラネェけどよ。私にも寄こせって言ってきやがった。たまには親孝行しろとか言いやがって。」
ジュン「ハワイ旅行の両替してもらっただけって言ったらいいじゃないですか。」
社長「バカ、そんなこと言ったら連れてけとか言うに決まってる。」
ジュン「そうかもしれないですね。」
社長「そんなめんどくせぇ事、たまったもんじゃねぇよ。だからよ仕事上の金だって言ったらよ。そんなに儲かってるんだから良いだろ、とか抜かしやがるんだよ。」
ジュン「大変ですね。」
社長「早く死なねぇかな、あいつ。あ、お前100万やるから殺してくれよ。」
ジュン「冗談よして下さいよ。」
社長「マジだよ。」
ジュン「えっ」
社長「冗談だよ、バーカ。」
ジュン「・・・・。」


成功したくさんお金を持っている社長。そしてそれにタカる継母。
なんだか複雑な事情だな。そうは思ったが僕は何も出来る訳でもない。


またある日。
僕は相変わらず社長の店にタカりに行こうとお店に向かった。
しかしさすがにこうも何回も行くとあの継母と同じ様な感じになってしまうような気がしていた。
社長は「お前は残飯食わせてるだけだから良いんだよ。たまに役に立つしな!」と言ってはいたが、
あんなことを目の前で言われると気が引ける。しかし、あまりにもお店に行かないとテメェ最近来ねぇな!と何故かキレるのだ。ついでにお金を払おうとしてもキレる。意味分からん。

だから近くのドーナツ屋で甘い物でも買ってあげようと思い、ドーナツ屋に行くと

店員「あ、100円足りないね・・。」

レジの前には5歳くらいだろうか。男の子と更に小さい女の子がいた。

男の子「え?間違えちゃったかな。んー、じゃあ1個やめます。」
女の子「これはお母さんが好きなやつだからダメ!」
男の子「じゃあどうしよう。一つやめると1個足りなくなっちゃう。お母さんのとお父さんのとおばあちゃんでしょ。あと1個しか買えないよ」
女の子「○○ちゃん、我慢する!」
男の子「ううん。お兄ちゃんが我慢するよ!」
女の子「じゃあ、おにいちゃん。半分こしよっか。」
男の子「そうだね!半分こだ、半分こ!」

そんなやりとりをしていた。

そんなやりとりを後ろで見ていたのが社長だった。
社長「みんなの分、買ってあげてるんだ。偉い!2人で大きい声でドーナツ大好き!って言えるかな。そうすると1個プレゼントしてくれるんだよ。」

社長は自分の財布から100円を取りだしこっそり店員さんに見せながら目配せした。

男の子「え?そうなの?!言えます!せーの!」
2人「ドーナツ大好き!」

社長「はい、1個プレゼント!みんなの分が買えたな!」
男の子「やったー!早くおうち帰って食べようね!おじさん、教えてくれてありがとー!」

2人がウキウキで帰った後、社長は「無理なことさせて悪かったね。あの子らの足りない分は俺が払うよ。」と言っていた。

すると奥で見ていた店長が

店長「いいえ、私が払います。気にしないでください。」
とホクホク顔で自分の財布を取りだした。

社長「俺が変な事言ったんだ。俺が払うって。」
店長「いいえ、私が・・。」
社長「だーうるせぇな。分かった半分こだ。半分こしようぜ。」

社長と店長はそれぞれ50円ずつ財布から取りだし、照れくさそうに笑っていた。



ジュン「社長っ」

社長「おお、お前か。何してんだ。」
ジュン「いや、社長の所にタカりに行こうと思って。手ぶらじゃなんなんでドーナツと思ったんですけど。もう間にあってるみたいですね。」
社長「なんだよ、早く言えよ。もう買っちゃったじゃねぇか。あ、いや。これはここで食ってくんだ。」
ジュン「そうなんですか。」
社長「ちょっと人と会う約束しててよ・・。あ、そうだ。ちょうど良いわ。お前も付き合えよ。」
ジュン「えっ?」








そんなこんなで超心やさしいこんな社長の口から

「100万で、こいつを殺してくれ。」

そんな台詞を聞く羽目になるのだ。











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