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好景気と塩コショウ

好景気。

アベノミクスだかなんだか知らないが、景気が上向きになっているとは言っているものの
私達、社会の底辺の住民にとってはその恩恵など全く感じられない。

給料が上がっているとは言うが、僕も勤続の結果多少なり上がっているのだけどそれより社会保険料とか税金とかが上がっているため「上がってる・・・のか?」と首をかしげることも多い。

そもそも、税金なり社会保険料なりの支払いだってもちろん義務としてしっかり払うつもりなんだけど、
「税金、払っててよかった!」と思うような事があった人は少ないと思う。

一体何に使ってんだ?毎月こんなにたくさん吸い上げやがって・・・

そう不満を持つ人も多いのだ。



社会、経済の仕組みとは僕は
権力のあるものが底辺から吸い上げて成り立っている。
我々底辺にとってはそう思わざるを得ないのだ。



ついこの間、学生時代の友人からメールが届いた。

「最近どう?元気?」

それだけだったが僕の「仕事が忙しくて。」の一言でその友人の悩みを聞く流れになった。

その友人、僕と同い年で大学を卒業間近に当然就職活動を行っていたのだけど
僕は2年制の専門学校だったのでギリギリ間に合ったが、その友人は4年制大学。
僕らの代の4年制大学と言うのは、リーマンショックから続く100年に一度の不況、1000年に一度の大震災の東日本大震災、そして政権交代後の10000年に一度の無能首相という就職という面に置いては日本近代史における「最悪の年」とまで言われる2010年度の新卒にあたってしまうのだ。


僕を始め、専門学校を卒業したような「即戦力」と言われる人達はなんとかギリギリで滑り込めたが、
適当な大学をでて学生生活を謳歌したような大学生は死より厳しい現実を生きることとなった。

誰もが知っているような大学を出た学生でさえ就職できないような時代に誰も知らないような大学を出ている僕の友人の彼は当然その就職氷河期の中で凍りついていた。




学生時代の彼は饒舌で人当たりも良く「一緒にいて楽しい」そう思えるヤツだった。
その得意の世渡り上手さを活かし、なんとか小さな会社だが就職できたようだ。

しかし今思えば「就職に失敗していればよかった。」と考えてしまう結果となってしまった。







彼からメールが来て仕事の話になった時、彼はひどく言いにくそうな様子で
「いや、うまく行って無くてさ。」

彼の就職した会社はなんかよくわからないが「システム」を開発している会社らしく
彼が配属されてのは「営業」つまりその「システム」を別の企業に売り込む業務をしている。


そして問題なのが
「そのシステムが売れた分だけ、彼の給料は上がる。」

つまりは歩合制だ。
そう言われれば聞こえはいいが
「売れなければ給料はない。」
そうとも言い換えられるのだ。


しかし、彼の会社はただの歩合制ではない。
売れなくて給料が無ければ社員は辞めてしまう。
だから「生きてくのに最低限の給料を渡す」のだ。

この会社に勤めていれば一応は生活出来る。
だから辞める事もできず続けざるを得ない。辞めれば生活できなくなってしまう。
そう思わせ、”飼い殺す”のだ。


また、給料を渡すことによって、社員の離職を抑える以上にその会社はあるものを得ることができる。
それが「絶対的な支配」だ。

給料を貰っている以上彼は会社の命令を聞かなくてはならない。
彼もまたそのように会社に支配されていた。



「この間出勤したらデスクがオフィスビルの廊下に出されていたよ。」

おどけて話す彼だか、なんと残酷なことだろう。
彼の会社はオフィスビルの一角にある。つまり廊下はさまざまな会社の人が通る公共の場所なのだ。

好奇の目に晒され、みじめな思いをしながら仕事をしなければならない。
今時小学生もやらないような稚拙なイジメだ。

そんな思いをしながらも彼は働かなくてならない。必要最低限の生活費を稼がなくてはいけないのだ。


それでも売り上げが出ないので給料は最低。ちょっと頑張ったバイト程度しか出ない。
だからこそ毎日残業や休日出勤をして営業をする。しかし、商品がクソみたいなシステムなので売れない。
売れないので給料は上がらない。残業しても休日出勤しても手当はでない。
完全に八方ふさがりだ。



「給料日前になると、お金無くてさご飯に塩コショウかけて食べるよ。」

悲しい。悲しすぎる。

オレの3倍は働いてるのにオレの3分の1ほどの給料。食べることも満足にできてない。


辞めちまえよ、そんな会社。

僕はそう言ったが、それはできない、という。


なぜなら彼は「仕事がない」不景気を経験しているからである。
またさらに辛いのが彼の両親の世代はいわゆるバブル時代に就職しているため、その氷河期の辛さなんてわかるはずもない。



「大変だな・・・・。ま、頑張れ・・な。あー塩っ辛いもん食べたくなった。ラーメンでも食いにいかない?」
「え、でも・・・。」
「いいから、な。」
「あ・・・。ありがとう。行こうか。」
「おう。お前胃もたれにしてやるよ。」


僕は幸いにも仕事には恵まれているのでその辛さはいまいち分からないが、
とりあえず僕は彼を脂っこいラーメン屋にでも連れてって胃もたれにしてやろうと決めた。


クソ親父どもが「景気回復」という。
その好景気の底で若者は悩む。
苦労を知らないバブル世代のクソ親父どもは苦労する若者をクソ親父どもは「これだからゆとりは」の罵る。
若者はクソ親父どもが作ったゆとり教育のせいで悩む。



好景気。
それは若者の苦労という栄養をたっぷり含んだフカフカの土の上にのさばるクソ親父がいう言葉である。
この先本当に景気がよくなるかもしれない。または酷い不景気が来るかもしれない。
クソ親父どもが老いぼれ、自分の足で立てなくなったその時に、
社会を支配しているのは、塩コショウだけで育ったアスファルトに咲く若者たちだ。

耐えろ若者よ。
我らが咲く、その時代まで。

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大きな会場のイベントに行くとさ
別の会場でやってる就職イベントとかの
リクルートスーツ姿を大勢見かけるんだけど
あれは凄まじいわ。
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